はじめに

 こんにちは!みなさんは、「最近元気が出ないなあ」「いつも疲れている」なんて思うことはありませんか?実は、20~79歳の男女のうち8割以上の人が「疲れている」「慢性的に疲れている」と感じています(引用元:日本リカバリー協会、2023年調査)。
 また、精神疾患の患者数は2002年から2017年までの15年間で1.6倍も増加しています(厚生労働省、2018年調査)。メンタルヘルスの問題は、現代では避けて通れないものとなっています。

 ですが、実はそうしたメンタルヘルスの悩みは、運動によって改善することが出来ます!
 なぜなら、最近の研究では、運動がストレス睡眠自己免疫力など様々な角度からメンタルヘルスに良い影響を及ぼすことが明らかになっているからです。

 この記事では、運動することで実際に得られるメリットや、運動の習慣を始める際のコツ、具体的な運動のメニューなどを詳しく紹介しています。この記事を読み終えると、すぐに運動を始め、今よりも心身ともに元気に日々を過ごせるようになるはずです!

 次章では、運動がストレス軽減、睡眠の質改善、自己免疫力の向上にどのように関係しているのか見ていきましょう!

〇運動がメンタルヘルスに及ぼす主な影響

1.運動がストレスを軽減する仕組み

 はじめに、運動がストレスを減少させる仕組みを紹介します。大きく二つの面から運動がストレスを軽減すると言われています。

⑴血流量の増加

 まず、血流量増加による脳の活性化です。運動によって心拍数が増加することで、全身に送り出される酸素や栄養素が増加します。その結果、脳の働きが活性化し、ストレスに対して効果的に対処できるようになります。

⑵「幸せホルモン」の分泌

 次に、脳内ホルモンの分泌です。運動によって、ドーパミンやセロトニン、エンドルフィンなどの「幸せホルモン」と言われる脳内ホルモンが分泌されます。

・ドーパミン
ドーパミンは主に脳内で働く神経伝達物質で、運動、認知、睡眠、記憶学習、やる気など多くの行動に関与します。中でも脳内にある報酬系(脳の中にある快楽を感じる領域)に深く関わっており、報酬が得られるタイミングが近づくにつれて、多く分泌されます。楽しいことが近づいてくる時のやる気やワクワク感の正体がドーパミンであり、ドーパミンの分泌はやる気や幸福感を向上させます。

・セロトニン
セロトニンも脳内で働く神経伝達物質で、ドーパミンや、不安や危険に関係するノルアドレナリンの分泌を抑制して、精神を安定させる働きがあります。セロトニンは欠乏するとイライラやストレスを感じやすくなってしまいます。運動だけでなく、日光を浴びることでもセロトニンの分泌を促進できます。

・エンドルフィン
エンドルフィンも脳内で働く神経伝達物質で、抗ストレス、鎮痛などの作用を持っています。マラソンのような長距離を走っている際に、疲れを忘れ気分が高揚してくるランナーズハイもエンドルフィンの作用と言われています。また、美味しいものを食べたときに感じる幸福感もエンドルフィンの作用と言われており、幸福感と強い関係を持つ脳内ホルモンです。

 このように、運動をすることで、血流量増加と様々な「幸せホルモン」の分泌をもたらし、ストレスに効果的に対処しつつ、幸福感を得ることが出来るのです。

2.運動が睡眠の質を改善する

 次に、運動が睡眠に与える影響を紹介します。

⑴運動と睡眠の関係についての研究

 まず、厚生労働省によると運動の習慣がある人には不眠が少ないということが明らかになっています。しかし、ここで注意したいのは、一度きりの単発の運動では効果が弱く、「習慣」であることが重要ということです。

 次に、筑波大学の研究では、日中に少し強めの運動を一時間行うことで、質の高い睡眠を確保できることが明らかになっています。この実験では、デルタ波という脳波を測定し、睡眠の質を客観的に評価しています。少し強めの運動の定義は「最大酸素摂取量の60%の強度の運動」で、具体的には「活発なウォーキング」がこれに該当します。

⑵睡眠に良い運動の時間帯

 運動を行う時間についてですが、この筑波大学の研究では日中が推奨されています。しかし、他の研究では夜(就寝の4時間前から就寝まで)の間の運動でも、激しい運動でなければ睡眠に好影響をもたらすそうです。

 以上のことから、「日中あるいは夜間での1時間程度のウォーキング」に相当する運動の習慣を身につけて、ぐっすり眠りましょう。

3.運動が自己免疫力を向上させる

 最後に運動が自己免疫力に与える影響について紹介します。早稲田大学の研究によると、適度な運動の習慣は感染症の感染リスクを抑えるという結果が明らかになっています。適度に運動をすることで、代謝が良くなり、免疫力が向上するようです。
 しかし、ここで注意したいのが、あくまでも「適度」である必要があるということです。運動の程度が適度から激しくなっていくに連れて、免疫力が低下することが研究中の実験で示されていました。激しすぎる運動の習慣は、かえって免疫力の低下につながることを心得ておきましょう。

 メンタルヘルスについて考える以前に、身体も健康であることは当然重要です。体調不良で寝込んでいる時に元気な気持ちでいることは難しいです。適度な運動の習慣を持つことで、健康な身体を維持しましょう。

〇実際の体験談

ここで、私自身が運動の習慣によってメンタルヘルスが改善した経験を紹介します。

1.メンタルヘルスが悪化していた当時の状況

 新型コロナウイルスが流行し、外出制限がされていた当時私は大学生でした。学校も行けず友人にも会えず、精神的に落ち込んでいました。さらに終わりの見えない外出制限を受け、塞ぎこんだ日々が続いていました。

2.運動との出会い

 退屈な生活を送っていたある日、運動がメンタルの安定に効果的という記事をネットで見かけ、10分間だけやってみた腹筋運動スクワットで大きく世界が変わりました。
 久々に汗を流したことで、やり切った達成感が得られ、さらに疲れた身体が回復していくにつれて心も元気になっていく感覚にワクワクしたのを今でも覚えています。

3.具体的にやったこと

 初めのうちは久々の運動が楽しくて、一日にたくさんの種目をやるなどの無理をしていました。ただその結果、強烈な筋肉痛に襲われていました。そして筋肉痛が原因で長続きせず、また特に動かない生活に逆戻りしてしまい、筋肉痛が治まったらまた無理をしてを繰り返していました。
 そこで、「毎日何かしら運動したほうが幸福感は高いのでは」という当たり前のことに気付いてからは、次のことを意識するようになりました。

⑴腹八分でやめる

「あ~、ちょっとしんどいな~!」で終わることで、次の日も頑張れる余裕を自分に残すことが出来ます。身体も心も余裕を持つことで継続することにつながります。

⑵一日に使う部位は多くても二つまで

鍛える箇所を減らすことで、短い時間で「やり切った感」を得ることが出来ます。

⑶レパートリーを増やす

毎日継続する上で、飽きないことはとても大事です。腹筋やスクワットだけではなく、ヨガやストレッチ、腕立て伏せといったメニューを増やすことで、毎日違った刺激を得ることが出来るので、飽き防止につながります

これらを意識することで、毎日違う種目を15分ほど行う習慣が身に付きました。

4.結果

 上記のことを意識したことで、「ちょうどいい」運動を継続できるようになり、生活の幸福感や充実感が増しました。この充実感の正体は、一つの運動を頑張ったという小さな達成感「やり切った感」だと思います。また、友人にこの体験を共有したことをきっかけに、毎日Zoomで映像をつなぎながら友人と運動する習慣も生まれ、生活そのものもにぎやかになりました。

 たかが一日15分の運動の習慣ですが、始める前と始めてからとでは、同じコロナ禍でも生活の充実感には雲泥の差があったと感じています。コロナ禍をきっかけに始めた運動の習慣は今でも続いています。私生活で落ち込んだことがあっても塞ぎ込んだり、自暴自棄にならずに済んでいるのは間違いなく運動の習慣のおかげだと感じています。私のこの経験がみなさんの参考になれば幸いです。

〇運動を始めるためのガイド

ここまで読んで、運動を始めてみたいと思った方に、アドバイスとおすすめメニューの紹介をしたいと思います。

1.運動を始める上での注意点

⑴継続できる運動から始める

 「運動しよう!」と思い、やる気で溢れている人に起こりがちなのが、頑張りすぎによる三日坊主です。ここまで紹介してきた運動によるポジティブな効果は、どれも「継続」することで発揮されています
 しんどくて続かないことではなく、ちょっと楽すぎるぐらいの強度で運動を継続できるようにしましょう。たとえ5分でも、自分の身体と向き合い、動かすことでメンタルヘルスに良い影響をもたらせます。

⑵自分に合った運動を見つける

 運動の中でもウォーキング・ランニング・サイクリングといった有酸素運動がストレスを軽減する上で特に効果的であると判明しています。しかし、ヨガやストレッチにもストレス軽減の効果があります。ゆったりとした呼吸で自律神経を整え、凝り固まった筋肉をほぐすことで血流を改善します。このように、特定の運動にこだわるのではなく、自分に最適な種目を見つけ、継続していきましょう

2.おすすめのスキマ運動メニュー

 次に私がおすすめする、スキマ時間でも出来る運動をいくつかご紹介します。

⑴スクワット

 これはみなさんご存知だと思います。場所も取らず、道具も要らず、時間もかからない最強のスキマ運動だと思います。無理のない範囲だと、一日30回が目安です。一度にやっても良いですし、朝昼と分けても良いでしょう。スクワットの効果を実感された方の記事が面白かったので、こちらもご覧ください。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/11fce5f94afed718e85693427f98995831890547

⑵ヨガ・ストレッチ

 こちらも皆さんご存知だと思います。家のカーペットでも出来ますが、ヨガマットの方が身体にも優しい上に、それっぽさが出ることでやる気につながるのでおすすめです。ヨガやストレッチの良さは、血流の改善と呼吸法によるリラックス効果です。ただこなすだけでなく、この二つを意識して、心の落ち着きを感じながらやっていきましょう。

⑶バーピージャンプ

 こちらは知らない方が多いかもしれません。バーピージャンプとは、うつ伏せで寝た状態から腕立て伏せのような体勢で立ち上がってジャンプし、頭の上で手を叩く運動です。ランニングのような有酸素運動で、かなり激しい運動です。
 「ランニングやウォーキングをしたいけど時間がない!けど有酸素運動はしたい!」と思っている方におすすめです。初めのうちは5回を3セットほど行い、慣れてきたら回数を増やしていきましょう。マンションにお住まいの方は、ジャンプは控えるようにしましょう。

まとめ

みなさんいかがでしたでしょうか?

運動には

・血流量の増加による脳の活性化と「幸せホルモン」の分泌によってストレスを軽減する

・不眠の防止と睡眠の質を向上させる

・代謝を良くすることで自己免疫力を向上させる

といった効果があり、三つの面からメンタルヘルスを改善することができることが分かりました。

 私も、コロナ禍で家から出られず大学に通えず、とても落ち込んだ時期もありました。そんな中、筋トレやランニングの習慣を身につけたことで、メンタルが回復し、精神的に安定した日々を過ごせるようになりました

 メンタルヘルスの向上に必要な運動は決してハードなものではなく、気軽に始められるものばかりです。元気が出ないみなさんも、すでに元気なみなさんも、今よりも安定したメンタルで健康な生活を送るために、1日5分の運動から始めてみましょう!

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